大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和35年(オ)313号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人鈴木右平の上告理由第一点について。

原判決は、挙示の証拠によつて、所論本件約束手形は上告人が振出したものであり、その振出行為についても何らの瑕疵がない旨判示していることは、原判文上明らかであり、証拠に照らし右判示は正当である。所論は独自の見解ないし原判決の認定に副わない事項に基づいて原判決を非難するもので、採用できない。論旨は理由がない。

同第二点について。

手形の裏書の連続ありとするには、手形上の表示が一字一句同じでなければならないものではなく、その同一人であることが表示されていればよいのであるから、本件約束手形に受取人として山形陸運(株)と表示されており、第一裏書人として山形陸運株式会社取締役社長半田瀬市と表示されていることは、所論のように裏書の連続を欠くものとは認めえない。論旨は理由がない。(昭和二七年(オ)第四一六号、同年一一月二五日第三小法定判決、民集六巻一〇号一〇五一頁参照)

同第三点について。

所論は、原審の裁量に委ねられた証拠の取捨判断ないし原判決において適法になした事実の確定を非難するもので、採用できない。論旨はすべて理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高橋潔 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 石坂修一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例